私もいつの間にか前期高齢者の終盤に入ってきた。更に日本男子の平均寿命も間近に迫っている。しかし当の本人はそんな実感がないのである。ACPや終活を語り、本人の意思を尊重した終末期の決定をと話していても自分事としてはなかなか思えない。何となくこのままの状態が続くのだろうと考えている。
何か特別なことは多くの人にとって唐突に起きるのであろう。恐らく、多くの人にとっての終末期というのはそんなものなのだろう。前々からその時に備えていた、と思っていた人もはっきりとした受け止めができ、明確な意思表示ができるとは限らない。何年か前の決断やそれに基づいた文書が今起きている事態にそのまま通用するとは限らない。さらに明確な意思表示が困難な方の方針に困るというのもよくある話である。起きるかもしれないことは千差万別であり,さらに年齢、健康観や死生観、家族関係、経済状態などの因子が付け加わると無数の組み合わせのパターンが起きてくる。だから何か正しい方法論があるわけではない。それに当てはまらない人が大部分である。
きちんとした死生観を持って死に向かう人をケアするのがホスピスケアではない。そうできない人を正しく導いてやろうとするのもホスピスケアではない。道に迷い、混乱し、恐れながら歩んでいる人の横に立つのがいっぽのホスピスケアである。
(2021.3.31記)
担当:痛みの外来、訪問診療
ペインクリニック学会認定医
日本麻酔学会認定麻酔指導医
群馬県在宅療養支援診療所連絡会会長
群馬大学医学部臨床教授
高崎市医師会在宅医会顧問
日本ホスピス在宅ケア研究会評議員
群馬県がん対策会議、在宅ケア対策会議各委員
趣味:読書 音楽鑑賞、ギター、将棋
患者様から頂いた力をもとに、より良いケアを届けたい
当院では開業以来、患者様の「病気があっても家で今まで通り暮らしたい」という想いを叶えるため在宅緩和ケアを行ってきました。
家であれば病人としてだけでなく、一人の人として過ごすことができます。大好きな庭を眺めたり、好きな時間に好きなものを食べたり、時にはお酒も飲んだり、そして何より家族と共に過ごすことができます。お一人暮らしでもペットと過ごしたり、一人の方が自由でいい、と仰って様々なサポートを得ながら一人暮らしを貫かれる方もいます。「今までありがとう」とお互いの想いを伝えたり、ギリギリの状態でも頑張ってご自分のことはご自分でしようとしたり、患者様の力、ご家族の愛情には考えさせられたり感動させられることも度々あります。
今まで患者様から頂いてきた力をもとにより良いケアを提供できるように努め、これからも在宅療養を希望する方のお力になっていきたいと思います。
担当:緩和ケア外来、訪問診療
趣味:お菓子作り、ガーデニング
他院で緩和ケア支援チームに所属し5年間の緩和ケアの経験があります。患者さんは病院では患者ですが家に帰れば社会の中で多くの役割を持って生活してます。患者さんの悩みは多様で想像できないような苦しみを持っていることに気づかされる毎日でした。
家での生活を支える在宅の現場で、様々な視点を持って患者さんの隣にいられるような存在を目指し日々精進しています。その人がその人らしく過ごすために価値観や物語を支える伴走者の役割を担っていくのが目標です。
産婦人科ではお産も担当しております。「生まれて、生きる」現場にいられることに感謝しています。
担当:訪問診療
日本産婦人科学会専門医
日本緩和医療学会認定医
趣味:サックス演奏
看護部
急性期病院で、痛み、苦しむ患者様を見守るしかできない看護ケアにジレンマを感じ、緩和ケアに関わっていきたいと思ったのが私の看護観、死生観の転機になりました。
患者様の強い気持ちがあれば、どんな状態の方でも「住み慣れた場所」で大切な人と過ごせるという事を経験してきました。
在宅医療に出会い、患者さん、ご家族から「住み慣れた家で、大切な人と何気ない生活ができる事の有り難さ」に気付く事ができました。
癌でなくても人はいつ亡くなるかわからない・・・。だから、"今"を、1日1日を、感謝の気持ちを忘れず生きる事の大切さと「看護師の役割」を教えて頂いております。これまでの学びと経験を活かして、その人らしい暮らしを支えます。
沈黙の中でもその人が大切にしている事に気づき、目の前に居る一人ひとりの方を大切に思う時間が寄り添いのかたちに繋がると確信しています。
大切な時間、お手伝いさせて下さい。
担当:看護管理、緩和ケア相談、訪問看護
趣味:映画鑑賞、登山
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